パソコン初心者がパソコンをやってみたいと思ったきっかけ、パソコンでやってみたいことは様々ですが、会社の送付状や報告書であれ、年賀状や忘年会案内であれ、パソコンが文書を作る道具である以上、まずは字を打つ、すなわちタイピングに慣れることが肝要です。
この記事では、どうしたらワードやエクセルの学習に充分で、長くパソコンに親しむのに必要なタイピングの、勉強の仕方について解説します。
パソコンができるようになるには、まず字を打つことができるようになること
現在の仕事に活かしたい、就職あるいは再就職を有利にしたい、生活を便利にしたい、生活を楽しみたい、など、パソコン・スキルを身に付けたいという動機は様々です。
様々ですがパソコンで何を習得したいかというと大半の方が、米国マイクロソフト社が提供するソフトウェア、ワード(Word)かエクセル(Excel)と答えます。
このこと自体間違っていないし、私自身もそれが正しいと思いますが、ワードやエクセル(以下ワード等)を学習する前に字を打つこと、すなわち「タイピング」の習得が必要、という視点が欠けていることがしばしば見受けられます。
ワード等ができるようになりたい、ということは、すなわち、会社の送付状や報告書であれ、年賀状や忘年会案内であれ、パソコンで文書を作成したい、ということです。
「文書」である以上、「字を打つこと」を避けて通れないし、ワード等で”写真の挿入”や”文字の変形”などの「技」を習得しても、字を打つことが実際の文書作成作業で大きなウェートを占めます。
このとき、タイピングのスキルが一定水準以上に達していなければ、文書作成が捗らないことは言うまでもなく、意識的でも無意識でも字をうつことが「苦痛」になるようですとパソコンを心の底から楽しめません。ひいてはワード等の習得、パソコンに長く親しむことへの障害になります。
そこで以下、パソコン初心者の皆様の仕事や生活におけるパソコン活用に少しでも資するため、どうすればタイピングのスキルが上達するか、勉強の仕方について解説していきたいと思います。
お伝えしたい項目は次のとおりです。
1.大原則-ゆっくりていねいに
2.段階を踏むことの大切さ-ステップ・バイ・ステップ
3.正しい指使い
4.ひらがな入力
5.文字あるいは文章を修正するためのキー
6.漢字入力と文章入力
7.タッチタイピングあるいはブラインドタッチについて
8.どのくらいの速さが必要か
9.復習について
なお、様々なタイピング訓練用ソフトがあり、実際にはそれらを活用することになります。
本記事はそれら訓練用ソフト構成の考え方及び活用に当たっての心構えと捉えて下さい。
訓練用ソフトの構成の背景、すなわち、なぜこのような訓練をするのか、を知ることで訓練の動機付けに貢献するでしょうし、必ずしも当該ソフトでは説明していない訓練に際しての心構えを知ることで効率的な訓練を実現できます。
ちなみに、この記事では、どなたでも無料で取得できる「TYPETRECK2 LITE」という訓練用ソフトを主に念頭に置いて記述していることをあらかじめお断りしておきます。
補足)本当はタイピングより先に「マウス操作」を習得すべきですが、こちらはタイピングより習得もはるかに容易だと思いますので、この記事では省略します。
1. 大原則-ゆっくり丁寧に
雑誌の受け売りですが、あるゴルフの名プレイヤーは、”スイングはこれ以上のゆっくりはないというところまでゆっくり振ることだ”と言っていますし、書道の達人も”「村」という字なら、「木」をこれ以上ないほどゆっくり、遅く、遅く書きなさい”と言っています。
何事も基本を丁寧にゆっくり繰り返すことが大事です。タイピング訓練も、”ゆっくり丁寧に”を心掛けて下さい。
タイピング訓練の究極の目的は”速く”うつことなので、どうしても速く、速く打とうとしがちになりますが、正しい指使い(後述)が乱れ、指のホームポジション(同じく後述)がずれると、「指」に覚えさせることが難しくなり、どうしても「目」でキーを探すことになります。結果、逆に打つのが遅くなってしまいます。
そこで、最初のうちはちょっと単調できつくとも、あせらず”ゆっくり丁寧に”、徐々にでも上達することを楽しみながら、タイピング訓練に取り組んでもらいたいと思うのです。
2. 段階を踏むことの大切さ-ステップ・バイ・ステップ
これもタイピング訓練に限ったことではないですが、何事も易しいところから始めて、ある段階のスキルが身に付いたところで次の段階に進む、すなわちステップ・バイ・ステップが結局は近道です。
タイピングもいきなり長い文章を打ったりはしないで、以下のようなステップを踏んで、一つのステップのスキルを充分身に付けたうえで次のステップに進みます。
(1) 正しい指使いの習得
(2) ひらがな入力の習得
(3) 漢字入力の習得
(4) 文章入力
上記4つのステップの中にも、さらにいくつかのステップがあり、以下の項目ではそれらについて詳述します。
3. 正しい指使い
「タイピング」とは、キーボード(写真1御参照)(*1)の「キー」を打って文字を入力することですが、両手のどの指でどのキーを打つか(図1御参照)(以下”指使い”)は指の動きを最小限にするよう既に確立されています。
*1 キーボードの文字キー(アルファベットが書いてあるキー)は3段あることを確認しておいて下さい。手前から下段キー、中段キー、上段キーと言います。
この正しい指使いを覚えることがタイピング訓練の第一歩で、やはり以下のようなステップを踏んで各段の指使いを覚えていきます。
(1) ホームポジションの指使い習得
(2) 中段キー(ホームポジション+「H」キーと「G」キー)の指使い習得
(3) 上段キーの指使い習得
(4) 下段キーの指使い習得
ここでホームポジションとはタイピングの際最初に指を置く位置のことで、それぞれどのキーにどの指を置くかは図1のとおりです。(*2)
*2 文章で書くと以下のとおりです。
「J」、「K」、「L」、「;(セミコロン)」キーの上にそれぞれ右手の人差し指、中指、薬指、小指を置き、「F」、「D」、「S」、「A」キーの上に左手の人差し指、中指、薬指、小指を置き、さらに右手親指を空白キーの右側、左手親指を同じく左側に置きます。
ホームポジションはタイピングの最初に置く位置ということに止まらず、指使いを安定させるため、上段キー、下段キーを打ったら原則ホームポジションに指を戻します。
なお、8.項で手元を見ないで打つ訓練に関して記述しましたので、こちらも参考にして下さい。
4. ひらがな入力
正しい指使いを習得したのちはひらがな入力の訓練です。ひらがなの単語(なんでもいいですが「いみ」とか「いっしゅん」とか「ししゃごにゅう」とか)を「ローマ字」で入力する訓練をします。(*3)
*3 「かな入力」という「あ、い、う、え、お・・・」を直接入力する方式もあり、この記事では深入りしませんが、ローマ字入力と比べてどちらが優位かについては議論があります。
議論はありますが、実態として圧倒的にローマ字入力のほうがポピュラーで、訓練用ソフトもローマ字入力しか念頭に置いていないようなものもあることから、パソコンの文字入力とはローマ字入力である、ということで以下進めます。
ローマ字は小学校で習うローマ字と基本的には同じですが、効率を考えて、あるいはパソコン特有の都合で若干異なるところもありますので事前に確認しておいて下さい。(*4)
*4 例えば「し」は「SHI」ではなく「SI」と打ちます。言うまでもなく打つキーを1つ少なくするためです。
「ん」は「N」ではなく「NN」と打ちます。これは「N」が「な行」でも使うので(「NA」、「NI」・・・)、「N」だけではパソコンが”(打ちたい字が)「な」かもしれない”と思って変換しないからです。
「こっか」とか「たっせい」の小さな「っ」も上記ローマ字表でよく事前に確認しておいて頂きたいところです。
ひらがな入力の訓練に入ると、どなたも程度の差こそあれ、身に付けた3.項の”正しい指使い”が乱れます。
これは、例えば入力すべき「あ」の字に対して「A」キーを打つために、頭の中で一度「あ」を「A」に変換する必要があり、注意力をこの変換に持っていかれるからです。
ここで適当な指使いをしていてはいけません。こういうときこそ「ゆっくり丁寧に」を思い出し、ゆっくりゆっくり打つことが肝心です。ゆっくり打っていれば自然に正しい指で打てるようになり、ひいては速く打てるようになります。
5. 文字あるいは文章を修正するためのキー
ひらがな入力を身に付けたあとは、いよいよ漢字入力の訓練に入るわけですが、その前に一旦入力した文字あるいは文章を修正する時に使う以下の文字キー以外のキーについても学習します。(写真2御参照)
(1) 文字を削除するキーその1-BackSpaceキー
(2) 文字を削除するキーその2-Deleteキー
(3) 削除あるいは挿入する箇所へカーソル(*5)を移動するキー-左矢印キーと右矢印キー
*5 カーソル・・・ワード等において次に文字が入力される箇所を示す点滅する縦の棒の印
これら3種類のキーの使い方は簡単で習得も20分くらいで完了しますが、文字で解説しようと思うとちょっとわかりづらいです。ですが一応以下のとおり解説しておきます。
(1) BackSpaceキー
BackSpaceキーを押すと、カーソルの1文字前の文字が削除されます。一つの単語の最後の字を消す時によく使われます。
例 「富士山」⇒「山」の1文字を削除 ⇒「富士」
「専門知識」⇒「知識」の2文字を削除 ⇒「専門」
(2) Deleteキー
Deleteキーを押すと、カーソルの1文字後ろの文字が削除されます。一つの単語の最初の字を消す時によく使われます。
例 「海外旅行」⇒「海外」の2文字を削除 ⇒「旅行」
「行政機関」⇒「行政」の2文字を削除 ⇒「機関」
(3) 左矢印キーと右矢印キー
カーソルを移動するときに使います。
例)「ハードルを跳ぶ」を「とびばこを跳ぶ」に変更
①左矢印キーを3回押して、文の右端にあるカーソルを「跳ぶ」の「ぶ」の字の後ろに移動
②BackSpaceキーを4回押して「ハードル」を削除
③「とびばこ」と入力する
6. 漢字入力と文章入力
ひらがな入力を身に付けたら次は漢字入力です。
日本では小学1年生から中学3年生まで膨大な数の漢字を学習するわけですが、この点、パソコンの漢字入力は簡単です。ひらがなで読み方を入力し、親指で変換キー(空白キーを兼ねています(念のため)。)を押せば、自分が漢字を知らなくともパソコンが勝手に変換してくれます。
漢字入力の練習とは、親指で変換キーを押す練習だけなので、特に正しい指使いや、ひらがな入力のようにことさら単独で訓練の項目を起こす必要もありません。「短い」文章をいきなり打てば良いでしょう。(故にこの項は「漢字入力」と「文章入力」の2つの訓練を解説する項目になっています。)
たとえば以下のような文章です。
谷の流れに散り浮く紅葉、
波にゆられて離れて寄って、
赤や黄色の色様々に、
水の上にも織る錦
入力で注意すべきは変換キーを押すタイミングだけです。効率を考慮し以下のように変換します。
(1) 助詞が名詞についているときは、「名詞+助詞」で変換します。
(2) 「、」や「。」は単独で変換しないで前の単語と一緒に変換します。
すなわち、以下のとおりです。
悪い例)「谷」で変換、「の」で変換、「流れ」で変換、「に」で変換、・・・「、」で変換
良い例)「谷の」で変換、「流れに」で変換、「散り浮く」で変換、「紅葉、」で変換
補足)細かい話ですが、「色々」とか「様々」とかの「々」(同の字点)がうまく変換で出ない時は、単独で「DOU」と打って変換すれば出てきます。
「文章入力」の訓練として、100文字から200文字程度のまとまった文章を打ちますが、要領は「漢字入力」の短い文章と同じです。
7. タッチタイピングあるいはブラインドタッチについて
パソコンのスクリーンから目を離さず、キーボード上の指先を全く見ないで文字を打つタイピングを「タッチタイピング」あるいは「ブラインドタッチ」と言います。(以下、タッチタイピング)
正直私は完璧なタッチタイピングまでは、ワード等の習得並びに仕事や生活でのパソコン・スキルの実践に必要ないと思っていますが、それでも正しい指使いの習得とひらがな入力の習得では、手元を我慢して見ないで文字を打つことが、「キー」を指に覚えさせることに有効だと考えています。
最初はキーを目で確認しながら字を打たざるを得ませんが、ある程度反復練習したら、意を決して顔を上げて打ってみて下さい。頭に負荷がかかり疲れると思いますが、負荷をかけたほうが覚えも早くなります。特に正しい指使いの訓練をステップ・バイ・ステップで進めていれば、正しい指使いなら指の動きも最小限なので、思ったほど難しくないと感じるはずです。
8. どのくらいの速さが必要か
10分で200文字の文章が打てることをタイピング訓練の卒業、すなわちワード等の学習に進む前提にすると良いでしょう。
10分で200文字も打てれば特にタイピングというものに大きなストレスも抱えず、ワード等の学習を支障なく進められます。
但し、300文字打てる人(200文字の文章課題が10分かからず7分弱で打ち切ってしまう人)と、200文字ぎりぎりで卒業する人のその後のワード等の学習進捗状況を観察していると、300文字の人のほうがワード等の進捗も早いように思います。
これは、
・単純に字を速く打てるので、課題の完成に要する時間がより少なく済む
・タイピング時に頭にかかる負荷がより少なくワード等固有のスキルの習得に集中できる
ことによるものと私は思っています。
200文字と300文字のスキルの違いはどこから生じるのでしょう?
私は前項(8.項)の”手元を見ないで打つ”ことが、我慢してできるかどうかにかかっていると思っています。頭に負荷をかけることを嫌い、どうしても顔を上げられないと300文字に届きません。このあたりも”見ないで打つこと"を推奨する所以です。
9. 復習について
タイピングに慣れワード等の学習に進んだ人でも週に5~10分程度は「ひらがな入力」を復習したほうが良いです。
200文字/10分を達成してもタイピングの訓練をやめてしまうと、どうしても折角身に付けたタイピング・スキルが衰えてしまいます。
1週間に10分でも5分でも良いので、ひらがな入力の訓練は継続してもらうことが、身に付けたタイピング・スキルを維持し、長くパソコンに親しむコツです。
余談ですが私は17年間、ヴァイオリン教室に通っていましたが、17年目でも授業の最初の5~10分はスケール(簡単に言うとドレミファソラシド)でした。17年で4人の先生に付きましたが、どの先生もこのことは同じで、私のヴァイオリンの先生たちも基本が大事だと思っていたと思います。
以上、どうすればタイピング・スキルが上達するか、について述べてきました。
パソコン初心者の皆様のパソコン・ライフがより充実することを祈念しております。
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